(撮影:GION)
アートフェア5回目の出品となる髙橋賢悟。
今年は髙橋が博士修了にあたり挑んだ大作を中心に、髙橋のみに焦点を当てた空間構成を試みます。年月と共に研鑽し続けていた技術が開花し、作品として結実する—作家としての一つの到達点を披露する機会となります。
「Re:pray」
2021年
h203×w145×d135cm
アルミニウム
―本作品のテーマは「祈り」であり、祈る対象の具現化である。―
東日本大震災の1年後に被災地を訪れた時、その更地のところどころに以前の生活を想起させる痕跡を見つけました。
その痕跡に多くの死というものが感じられた瞬間、地面と繋がっている足裏がじりじりとしはじめると同時に恐怖や焦燥感が鳥肌とともに全身を満たしていくのを感じ、いたたまれない気持ちに襲われた私は咄嗟に手を合わせていました。
今まで私は、人間に対する虚無感とそれとは正反対の動物の無垢な「生」への憧れ、東日本大震災や原発事故を経験したことによる「死」への気づき、そして「死を悼む心」という3つのコンセプトに沿って作品を発表してきましたが、本作は「祈る」という行為をテーマに制作をしました。
「祈り」とは願いを唱える行為であると同時に未来を思い描く行為でもあります。
祈るという行為を通してネガティブな感情を強制的にポジティブな方向に転換することで、人は死を乗り越え生きる力を生み出すことが出来るのかもしれません。
混沌と負の感情が満ち始めている現代で生きていく上で、私たちは「祈り」という行為の重要性を再認識し、それを行うための祈る対象を必要とするのではないでしょうか。
2022年03月11日(金) - 2022年03月13日(日)
【会期】3月11日(金) 11:00 - 19:00
3月12日(土) 11:00 - 19:00
3月13日(日) 11:00 - 16:00
【会場】
東京国際フォーラム・ホールE(東京都千代田区丸の内 3-5-1)
靖山画廊ブース:N009