Exhibitions

必要なもの以外を画面からそぎ落とし、ミニマリズム的な作品を制作する髙橋健太は、伝統的な画材である岩絵具の粒子をデジタルのドットの集積のようなイメージで捉えることで新しい表現の開拓や日本画の可能性に挑み続けています。

今回の展示作品の画面の大半を占めるのは都市を構成する金属板を思わせる、銀箔によって作られた画面です。その上にはストリートアートに見られるスプレーの表現を想起させる線が踊っています。
街の至るところで見かける様々な落書きは、路地裏の文化に所属する者にしか意味が読み取れないある種の土着の暗号のようなものであり、それ以外の人々にとっては猥雑なものにしか映らないでしょう。
そんなモチーフを伝統的な日本画材によって描き出したこの作品は、ある意味で日本画の現状の存在意義を問い直す試みとしても見ることができるかもしれません。

「save the city」
2021年
h116.7×w91×d3cm
麻紙、岩絵の具、銀箔

 

『save as』 自身の制作におけるコンセプトであり、全作品の共通項だ。
「save」するのは、流れる時間の中で常に変化を強いられる世界、それに付随する記憶、薄れゆく伝統だったり、自分や誰かの心かもしれない。

〈city〉シリーズは日本におけるカルチャーをグローバルに捉え、グラフィティの書道的なストロークや銀箔地によって表現したチェッカープレートを用いて、現代社会の保存と日本文化の接続を試みた。多様化している現代で自己を打ち出すことは難しく、だからこそ個の集積である街に興味がある。公共物へのラクガキは犯罪ではあるが、社会に対して自分を主張し、存在を残そうとする点では全てのクリエイターも同じなのではないか。

街はリアルタイムで上書きされ、歴史が積み上がっていく。たまたま私は作品を残せる立場にあるので、別名で保存しようと思っている。

2022年02月14日(月) -  2022年02月28日(月)

11:00~17:00
土曜は完全予約制となります。
※日・祝休み

〒104-0061 東京都中央区銀座5-14-16 銀座アビタシオン2階
Tel:03-3546-7356
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