1995年生まれ。東京藝術大学大学院工芸科漆芸専攻修士課程を修了したばかりの彫刻家・野田怜眞のSEIZAN GALLERY TOKYO 凸での初めての展示となります。
伝統技法を駆使し、オリジナリティー溢れる作風は唯一無二の存在感を感じさせます。
今展では、東南アジアの起源神話を基に人間の本質を問う作品を発表致します。
「Vanana 刺」
2020年
h11×w20×d5cm
漆、麻布、金、銅、アクリル、皮
(技法:脱活乾漆、平蒔絵、打ち出し)
大学生の頃、東南アジアに短期留学をした際、貧富の差が激しい中でも寺院はとても豪華に作られていて彼らの宗教的な感覚に驚いたことがあります。けっして豊かではない生活の中でも祈りを捧げることで人々は思考をポジティブに向かわせている様に感じ、私は直接何かを与えなくても人の心を豊かにする寺院や仏像はアートとどこか似ているのではないかと思いました。そして、私の作品もそんな存在でありたいと思いはじめました。
この体験から私は東南アジアの人々の精神性に興味が湧き、東南アジアで伝えられる起源神話”バナナ型神話”に着目しました。
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バナナ型神話
「神が人間に対して石とバナナを示し、どちらかを一つを選ぶように命ずる。人間は食べられない石よりも、食べることのできるバナナを選ぶ。硬く変質しない石は不老不死の象徴であり、ここで石を選んでいれば人間は不死になることができたが、バナナを選んでしまったために、バナナが子ができると親が枯れてしまうように、またはバナナのように脆く腐りやすい体になって、人間は死ぬようになったのである。(Wikipedia)」
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愚かさゆえにバナナ(老化や死の象徴)を選んでしまったけれど、死という終わりが出来たことで人間は今という限られた時間と向き合い、その中で幸せを望み、人生を謳歌することができるのだと思います。
また、帰国後にリサーチの為にバナナ農園を訪れた際、太腿程の幹から伸びた先に2〜300本のバナナが重力に逆う様にそり上がり、まるで王冠を何重にもぶら下げている様に衝撃を受けました。その姿からは自然が秘めた生のエネルギーが感じられ、そのエネルギーを”上昇”や”成長”の象徴として偶像化させ、自身の作品の中で表現したいと思いました。
本作を装飾するスタッズ(鋲)は目に見えないバナナの秘めるエネルギーを私なりの表現で具現化させたものです。
2022年01月25日(火) - 2022年02月04日(金)
11:00~17:00※土曜は完全予約制となります。
※日・祝休み
作家在廊予定日:1月25日(火)
〒104-0061 東京都中央区銀座5-14-16 銀座アビタシオン2階
Tel:03-3546-7356
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