Artist Statement
「時間をかけて追及していかなければいけないものは、気が付かないうちに無くなってしまう。」
自然災害が多いことから、日本では有事の際に持ち運べるようなサイズや軽さで作られた文化財が多く作られていました。
その必要性や需要、もしかしたら日本人のまめでせっかち、細かい作業が好きで丁寧な仕事を好む性質もあいまって高品質で繊細な文化遺産や伝統・技術が受け継がれてきました。
現代社会ではその物や事自体を掘り下げて楽しむというよりも話題性や短期的な刺激による快感がもてはやされているように感じます。そして、長い歴史の中で培われてきたものが少しずつ、気が付かないうちに失われてきています。
何百年もかけて研ぎ澄まされた知識と技術を残したい。
日本の文化や芸術、漆芸を現代的にブラッシュアップした作品を通して自分たちの国の文化、日本の文化に目を向けてもらえたらと考えています。
自然の持つ生のエネルギーを上昇や成長の象徴として偶像化させたバナナシリーズでは、仏像の光背から派生したアイディアをもとにバナナから放たれるポジティブなエネルギーを表現してきました。
そして、新作「Vanana理」ではバナナを錆びつかせ華やかさとは対極とすることで自然の摂理を表現しています。
当たり前のようにその恩恵を受けているのにもかかわらず、その存在に気づく事もないまま、ただ大量消費していく。それはきっとアートや工芸の世界の中だけではなく私たちの日常生活でも起こっていることではないでしょうか。
私の作品が、自然の持つ力を改めて感じたり、時の流れの中で失われていくもの、忘れられていくものに思いをはせるきっかけとなればと思います。

プロフィール
1995 | 愛知県一宮市生まれ |
2019 | 東京藝術大学美術学部工芸科漆芸専攻 卒業 |
2021 | 東京藝術大学修士課程漆芸専攻 修了 |
2024 | 金沢卯辰山工芸工房 修了 |
現在 | 東京藝術大学 教育研究助手 |
【主な個展】 | |
2022 | 「野田怜眞」(SEIZAN GALLERY TOKYO 凸、東京) |
2023 | 「野田怜眞-Vanana-」(靖山画廊、東京) |
【主なグループ展】 | |
2020 | 「―陶・自在・鍛金・漆― 今井完眞・岡村悠紀・小林恵実・野田怜眞 展」(アトリエ ヒロ、大阪) 「現代漆芸2020」(金沢市立安江金箔工芸館、石川) |
2021 | 「図鑑展 ワンダーランド!」(藝大アートプラザ、東京) 「ラビット・ドラゴン・マウン展」(大阪高島屋、大阪・日本橋高島屋、東京) アートフェア東京(Future Artist Tokyoブース、東京国際フォーラム、東京) |
2022 | 「アジア漆の造形と祈り」(東京藝術大学美術館、東京) 「現代工芸展の展開2022」 (金沢市立安江金箔工芸館、石川) 「日本現代工芸美術展」(東京都美術館、東京)(’23、’24) 「金沢市工芸展」(金沢エムザ、石川)(’23、’24) |
2023 | 第3回「日本和文化グランプリ」(日本和文化振興プロジェクト、東京) アート台北(Taipei World Trade Center Exhibition Hall、台北、靖山画廊ブース) 「たいせつなもの展-HERO-」(靖山画廊、東京) |
2024 | 「cutting edge」(香林坊大和、石川) 工芸アートフェア2024(ハイアットセントリック金沢、石川) アートフェア東京(東京国際フォーラム、靖山画廊ブース、東京) |
【受賞歴】 | |
2019 | 東京藝術大学卒業展 取手市長賞 |
2020 | 安宅賞(東京藝術大学、東京) |
2021 | 東京藝術大学修了展 漆工奨学賞 |
2022 | 第60回記念 日本現代工芸展 現代工芸大賞 第78回金沢市工芸展 北陸放送社長賞 金沢卯辰山工芸工房 研修者展 金沢卯辰山工芸工房賞(’23) |
2023 | 第79回金沢市工芸展 金沢市工芸協会会長賞 |
2024 | 第80回記念金沢市工芸展 金沢市工芸展第80回記念賞 第62回日本現代工芸美術展 現代工芸賞 FORBES JAPAN 30 UNDER 30 2023 MUFG特別賞 |