SEIZAN GALLERY TOKYO 凸　　　　「鈴木千晶」

「新しい朝」
2022年
h53 cm
羊毛、ワイヤー、布、革、ガラスビーズ、木、毛糸　等

ある朝唐突に、何気なく聞いたドビュッシーの曲が急激にからだの中を巡った。
ありふれたその曲に、なぜ今頃？
生まれてきた赤ん坊が、初めて外の世界をその目で捉えたような気分。
今まで見えていなかったし、それがそこに在ることを知らなかった。
そんなことが今まで生きてきて何度かあったし、人はそうして何度も生まれ変わるのだと思う。

おとぎ話の中で姫君が残していった片方の靴は、夜を跨いでその意味を大きく変える。
あれは夢じゃなかった。あの人のいるこの世界は、とても美しい色をしている。
その目覚めは、前日までの朝と何もかもが変わるはず。

私はこれからも知りたいと願う。こんな新しい朝を。